Q1-2 球場内で選手の姿を動画撮影して、映像をアップロードして、インターネットを通じて公開することで、広告収入等を得ています。しかし、練習中や試合中の選手の撮影をしていると、時々、チームのテーマ音楽が球場内に流れるので、一緒に録音されてしまいます。このような撮影や映像のアップロードは、著作権侵害となりますか?
A1-2 著作権法30条の2で適法化される余地があります。
カメラなどで撮影していると、これに付随して他人の著作物が入り込むことがあります。このような写り込みに係る権利制限について、従来の著作権法30条の2では、「分離することが困難」という要件(以下「分離困難性」といいます。)が課せられていました。そのため、撮影に伴って意図せずに音楽が入り込んできた場合でも、その部分だけ別の音楽等で差し替えることができる以上、分離困難性を充たさないものと考えられました。
しかし、令和2年改正著作権法30条の2(2020年10月1日施行)では、分離困難性は、「分離困難性の程度」として、考慮要素の一つとなりました。そのため、「主として被写体に付随するものであれば、分離が困難でないものも対象とされる」と解されています(中山信弘「著作権法[第3版]」817頁参照)。
よって、同条1項の定める考慮要素に照らし正当な範囲内であり、かつ、著作権者の利益を不当に害することとならない場合には、同条1項(撮影)及び同条2項(映像のアップロード)によって、適法化されることとなります。