Q1-1 当社では「業務委託契約書」を作成の上で、個人に対して一定の業務を委託していますが、これが雇用とされることはありますか?
A1-1 あります。
労基法上の「労働者」も労働契約(労働契約法)上の「労働者」も、契約の形式ではなく就業の実態に照らして判断されます。したがって、例えば、①仕事の依頼等への諾否の自由がなく、②業務遂行上の指揮監督関係や③勤務時間・勤務場所の拘束性があり、④他人による代替性がなく、⑤労務提供の時間の長さに応じて報酬額が決まる場合には、雇用とされる可能性があります(近時の裁版例として、東京地裁令和2年3月25日判決、大阪地裁令和5年4月21日判決参照)。
なお、労組法上の「労働者」も実態に応じて判断されますが、使用者への人的従属性を示す要素(諾否の自由や勤務時間・勤務場所の拘束性)は必ずしも必要とされないものと解されています(水町勇一郎著「労働法第8版」p57参照)。