A-著作権Q1-3

Q1-3 美術館で開催された展覧会で印象派の絵画を撮影して、ウェブサイトで公開することは許されますか?

A1-3 以下、著作権と所有権の観点から検討します。

まず、著作権については、その作品が、著作権保護期間経過後のものであれば、著作権侵害とはなりません。著作権保護期間は、日本の著作権法では、著作者が死亡した日の属する年の翌年の1月1日から起算して、70年となります(51条2項、57条)。この点、フランスでも同様なので、印象派の画家であれば、著作権保護期間経過後と考えられます。それゆえ、撮影等をしても、著作権(複製権、公衆送信権等)侵害となるわけではありません。

次に、美術の著作物の原作品の所有権は、その有体物の面の排他的支配権能にとどまることから、著作権の消滅後に、第三者が上記の排他的支配権能をおかすことなく原作品の著作物の面を利用したとしても、原作品の所有権を侵害するものではありません(最高裁昭和59年1月20日判決参照)。したがって、著作権保護期間経過後の作品を撮影等する行為については、直ちに不法行為が成立するわけではありません。
ただし、所有者から美術の著作物の原作品を貸与された美術館は、その収蔵場所である美術館への入場を許可する条件として、作品の撮影等を制限することができます。その場合には、当該作品を撮影等する行為は契約上許されないこととなります(高林龍・標準著作権法第5版8頁参照)。
また、美術館により撮影等が制限されていない場合でも、撮影した画像を利用して収益を図る行為については、諸般の事情を勘案した結果、違法性が強い場合に当たるとして、不法行為上の問題となる可能性があります(中山信弘・著作権法第4版307頁参照)。

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