A-労働Q2-3

Q2-3 執行役員である従業員が任期満了により執行役員を退任した場合、当該従業員の給与は、どのようになりますか?

A2-3 執行役員就任時における旧来の労働条件に復するものと考えられます。
   一般に、執行役員制度を定める執行役員規程等が、執行役員の待遇(給与等)について別途の規程を置いているのは、豊かな業務経験を有し、優れた経営感覚の下、高い識見をもって職務に当たることが期待されている被告の執行役員として選任された被告従業員に対し、その任期中、その責任等に応じた特別待遇をもって報いる趣旨のものと解されます。
   このような執行役員規程等の趣旨に鑑みれば、執行役員の地位にある者が執行役員を退任した場合には、執行役員在任中になされた特別待遇も退任に伴い終了し、執行役員就任時における旧来の労働条件に復するものと考えられます(東京地裁令和2年8月28日判決・判例時報2487号88頁参照)。
   なお、会社としては、当該従業員との賃金を巡る紛争を回避するために、執行役員規程等において、「執行役員の地位にある者が執行役員を退任した場合には、執行役員就任時における旧来の労働条件に復する。」などと明示しておくことが望ましいと思われます。