A-交通事故Q3-2

Q3-2   整骨院の施術費は、一応の目安とされる初療の日から6か月以内であれば、裁判において必ず損害として認められますか?

A3-2   必ずしも認められるとは限りません。
   施術費の請求は、「必要」かつ「相当」な施術の費用であると認められる場合に、裁判において損害として認められます。そして、「必要」に関しては、①施術の必要性、②施術の有効性を、「相当」に関しては、③施術内容の合理性、④施術期間の相当性、⑤施術費の相当性を考慮要素として判断されます(A-交通事故Q3-1参照)。
   この点、交通事故の被害者において、事故直後から頻回に、場合によってはほぼ連日整骨院に通院し、施術内容も通院頻度もあまり変わらないにもかかわらず、6か月を経過したとたんに整骨院の通院を止め、きっかり6か月分で、かつ、整形外科における治療費の何倍にも上るような高額の施術費を請求した場合についてみると、
  ・④施術期間の相当性について、一応の目安は満たすとしても、
  ・施術内容も通院頻度もあまり変わらず、6か月を経過したとたんに整骨院の通院を止めていることから、施術を行うことが必要な身体状態にあったとか、施術効果が上がったとはみることができないとして、①施術の必要性、②施術の有効性に問題があると判断されることもあります。
   また、
  ・頻回に通院していることから、受傷内容と症状に照らし、施術が過剰・濃厚に行われているとして、③施術の合理性に問題があると判断されることもあり得ます。
   更には、
  ・施術費が高額であることから、⑤施術の相当性に問題があると判断されることもあり得ます(以上について、吉岡透裁判官・「整骨院における施術費について」・2018年版「赤い本」下巻30頁参照)。